take You ３
ああ、そう来るかと、アスランは心の中で天を仰いだ。
しかし、シンとのはじめての時は、そっちの方だと思っていたなぁと思い返し。
腕の中で呆然としているシンの、真っ赤な瞳をのぞき込み、軽く首を傾げて問いかけた。
「するか？」
「へ？え？？」
これでも赤服か？大丈夫か、こいつ。
思わず心配になったアスランを見下ろして、ギルバートは楽しそうに言う。
「アスラン、君がしてやればいい」
「そうですね」
正直、同じ「してやる」でも、こちらの方がよほど得意だ。罪悪感も少なくて済む。
だからアスランは、やっとその意味を理解して、わたわたと慌てだしたシンを、ベッドの上に放り出し、のし掛かって。
「観念しろよ」
そう言って、艶やかに笑う。
「え、えええっ、アスランさん、何す・・・」
達したばかりのそれに、綺麗な指を絡められれば、若い体だ、三度目といえど、すぐに力を取り戻す。
それだけ、アスランの手淫が上手いというのもあるのだけれど。
「元気だな」
くすりと笑われ、恥ずかしくなって。
「だって。あんた上手・・・」
言い返そうとした唇を、ちゅっ、と軽くついばまれて、黙らされて。
「前にも言ったろ、これは上手いんだ」
そういやそんなこと言ってたっけ、などと、気持ちよさに任せてぼんやりと思うシンに、アスランはある意味容赦なく。
「だから、全部任せてくれていい」
「は、あっ・・・」
すっかりいきり立ったものに何かがあてがわれ、次の瞬間、狭い場所をくぐる感覚に、思わず声がもれてしまう。
そうして、きついそこで絞られた後、熱く濡れて柔らかな、気持ちの良いものに包まれた。
「アス、ラ・・・」
「んっ・・・大声、出すなよ」
上から、艶っぽい声が降りてくる。
それはそうだ。だって、アスランはシンの上に乗っていて。
腰の上に、座り込んで。
シンのものを、そこで、飲み込んでいて。
じゃあやっぱり、この凄く気持ちいいのは、アスランさんの、体の中。
「どうだい？」
もっと上から、議長の声がする。シンは、答えたくない。でも。
「は、ふ・・・気持ちよく、ないか？」
少し遅れたアスランの、艶めいた声に慌てて首を振る。
「違っ、でも、んわぁ！」
シンの答えが終わらないうちに、そうか、と笑っていきなり腰を揺すりだしたアスランに、シンは思わず素っ頓狂な声を上げた。
どっぷりと包まれ切ったと思ったら、すぐさまきつい入り口に、きゅうっと絞られる。
やばいよ、すっげ、キモチイイ・・・
やはりアスランに教え込まれた、後ろの快楽とはまた違う。
もっと直接的で、性急な快感。
自然と腰が動いていて、アスランが嬉しげに笑うのが、何故か中を通してよくわかった。
あ・・・
だからシンは、一生懸命に腰を動かした。
ベッドに押さえ込まれて乗っかられて、凄く情けない格好だけど。
でもだって、俺、今、アスランさんに入れてるんだ。いつも気持ちよくしてもらってるんだから、俺も気持ちよくしてあげなくちゃ。
「んぁ、あ、はぁ・・・・」
シンの望むとおりに、気持ちよさそうなアスランの声が聞こえる。
それが、ぞくんと背筋を走って。
シンは、きゅうっと締め付けてきたアスランの中に、とくとくと精を注いでしまっていた。
うわ、俺、アスランさんの中に・・・
時と場合を忘れた少年が、快感に浸っていると。
「ちょっと早いね」
無情な大人の声が、かかって。
「言わないでやってくださいよ」
なぁ、と、アスランが頬にキスをしてくれた。乗っかったままで。
「初めてでも、君はもう少し持っただろう？」
「そうでしたか？夢中で覚えていませんが」
お、オトナって・・・
しかも、シンの頬から離れた唇を、横からギルバートがさらっていく。くちゅ、と、濡れた音が、悔しい。
「んっ、議長は・・・？」
しかも、アスランはシンの上で、議長の唇にそう囁いたのだ。
「ああ、そうだね」
ぺろ、と、媚びるように、アスランがギルバートの唇を舐める。
それをありえない下からの角度で見上げてしまい、シンはごくりと生唾を飲んだ。
「君に、してもらおうか。・・・おいで」
「はい」
ずる、と、アスランの中からシンが抜き出されていく。
ほた、と、脚に垂れたものは、たぶんシンが中で放ったもの。
なのに、アスランは何のためらいもなくギルバートの脚の間に屈み込もうとして、止められて。
頷いた後、足を開いて。
「あ・・・ん」
ついさっきまで、シンが入っていたそこに、今度はギルバートを迎え入れ、喘ぐ。
痛みとも、疼きともつかないものに、今だ支配された下肢を小さく丸め、シンはその光景を、どうしようもなく悔しいと思った。
太い男を飲み込んで、ぐちゅぐちゅと音を立てているのは、さっきシンが入っていたところなのに。
ギルバートが体を離すときだけ、時々見える象徴は、さっきシンを気持ちよくしてくれていたものなのに。
あれ、シンの、なのに。
そう思った自分に気がついて、目を瞬かせたその瞬間、アスランの声が、高く上がった。
「ああっ・・・！」
「ふぅ」
自分の肌とシーツを濡らしたアスランは、とろりとした目でギルバートを見上げ、キスを強請って。
それからシンに目を移し、酷く儚げに笑ったのだった。
あんなに色々したというのに、アスランはまたシンにシャワーを浴びせ、何事もなかったかのように議長に敬礼なんぞをしている。
あの時と同じだ。シンはもう、ぐったりだ。
でも、まともに立って歩けるだけ、あの時よりは、マシ。
「では、失礼します」
「ああ。・・・可愛がってあげなさい」
いまだに、笑いを含んだ議長の声。
「はい」と、それに答えたアスランの声は、心なしか嬉しそうで。
シンはぎゅうっと拳を握り、そうしてまたアスランに殴られた。
「シン」
「・・・・」
無言で敬礼をするシンと、彼をド突きながら引きずっていくアスランを見送って、ギルバートはまた、くすくすと笑う。
ああ、本当に可愛いね。
どんな快楽の沼に落とし込んだとしても、決して溺れてくることはない。
彼らは、本当に可愛い。
「・・・ギル？」
しかし、別室に置いておいたレイが、おずおずと顔を見せると、ギルバートは笑みを深くして、手招きで彼を呼び寄せる。
そう。
自分にすっかり溺れてくれる、この子ももちろん可愛いのだ。
終